ドン・フライVS高山善廣
こんにちは。
私は格闘技が大好きで、今まで多くの試合を見てきました。
もちろん私は全ての試合を網羅している訳ではありません。むしろ見たことのない試合の方が多いですが、その中でも多くの名勝負がありました。
どれだけ長い時間戦おうが、どれだけ短い時間で試合が終わってしまおうが、どんな勝ち方、負け方であろうが、一つの試合にはストーリーがあります。
そのストーリーは試合が決まる前から試合が終わったあとまで続きます。
これはあらゆるスポーツの中で格闘技だけだと思います。
今回は、そのストーリーある格闘技の試合で、私が見たことのある中で、特に印象に残った試合を紹介していきたいと思います。
印象的だった試合は一つではありません。そのため今回以降も語っていきたいと思います。
まず最初に語る、印象的だった試合はドン・フライVS高山善廣です。
この試合は2002年6月23日に行われたPRIDE21のメインイベントでした。
私はこの試合をリアルタイムでは見ていませんでした。
私は2009年ぐらいからプロレスを見始め、高山を知り、この試合を知りました。
この試合はまさに、プロレスラーは強いということを象徴する試合の一つだったと思います。
高山は主にプロレスラーとして活躍し、MMAではいい戦績を残せていません。
フライはアメリカ出身の格闘家で、高山同様プロレスラーとしても活躍していました。またUFCの殿堂入りするほどのMMAファイターでもあります。
この試合は試合内容だけでなく、試合前後にもストーリーがあり伝説の試合の一つです。
もともとこの試合のフライの相手は高山ではありませんでした。対戦相手の怪我により急遽決定されたものでした。
高山はプロレスラーであるため、MMAの経験は少なかったにも関わらず、この試合のオファーを受けます。
総合格闘家としてはフライの方が経験もあり、実力があったため、試合前はフライが完勝すると言われていましたし、フライ自身も完勝すると発言していました。
そして試合が始まります。
試合開始直前、リングの中央でバチバチににらみ合います。
そしてゴングが鳴るとお互い前に出て激しく打ち合います。
ノーガードどころか、お互いに相手の首を掴み殴り合います。
ノーガードで打ち合う試合は何度か見たことがありますが、この試合はパンチを避けようともせず、打ち合います。
これはお互いにプロレスラーだったからできたことだったと思います。
私は、この打ち合いが行われている時の観客の反応がとても印象的です。
目の前では大きな二人の男が殴り合っているにも関わらず、会場はボルテージは一気に最高潮に達し拍手が起こり、観客は、まるでサーカスを見ている時のような楽しそうな表情を見せます。
私はこれが格闘技の本質だと思いました。エキサイティングな試合こそが格闘技だと思います。
もちろん格闘技の本質は人それぞれだと思いますが、私は観客がこの試合のようなリアクションをする試合こそが格闘技の本質を表していると思います。
ノーガードで打ち合ったあと、一度組み、その後高山が得意のジャーマンスープレックスでフライを投げ、下になったフライに膝蹴りをヒットさせます。
そして再び打ち合いになります。この時フライのマウスピースはどこかへ飛んでいってしまいます。反対に高山はひどく顔が腫れあがり、会場から驚きの声が聞こえます。
そして一度試合が止まり、高山のドクターチェックが入ります。ドクターストップで試合が終わってしまってもおかしくない状況でしたが、試合が再開されます。
そしてまた激しく打ち合い、会場からは大きな高山コールが起こります。
その後組み付き、もう一度投げようとしますが、失敗し高山が下になり、フライがマウントを取ります。
そしてパウンドからのパンチで、フライがTKO勝利します。
まさに格闘技の本質が現れたこの試合は、試合から約20年経った現在でも色褪せず伝説として語り継がれています。
実際にUFCFightPassというUFCの動画配信サイトのインスタグラムアカウントで、「PRIDE never die」という言葉と一緒に投稿されていました。
このように日本だけでなく世界中の人々が熱くなった試合でした。
現在高山は、プロレスの試合中のアクシデントによるリハビリ生活が続いています。
以前に、そのリハビリをしている高山とフライが再会するという内容の番組が放送されていました。
あの伝説の試合によって高山は一躍有名になりましたが、反対にフライは苦悩の日々を送ったらしいです。
それでも現在はその苦境から抜け出したそうです。その抜け出すきっかけもあの伝説の試合だったそうです。あの輝いていた瞬間に戻りたいと。
そして高山もあの試合を心の支えとしてリハビリに励んでいると発言していました。
番組による多少の盛りはあるかもしれませんが、二人にとって忘れられない試合の一つであることは間違いないと思います。
そしてあの試合は二人のファイターだけでなく、私を含め多くの人にとっても忘れられない試合だと思います。
今までの格闘技の試合の中でベストバウトを一つ選べと言われたら、私はこの試合を選びます。
それぐらいこの試合はすごくて、心を揺さぶられ、熱くなります。
試合に動きがなかろうが、観客が退屈しおうが関係なく勝つことだけを考えて戦うファイターにはこの試合を見てほしいです。そして格闘家に何が求められているのか感じてほしいです。
この伝説の試合がいつまでも語り継がれ、高山とフライがまたいつかリングで戦う時がくることを祈り、今回は終わります。
ノーフィアー!!